干ばつに弱い豪州

今年の金需要はインドや中国の増加で拡大見通し

世界13力国に上場している金ETFの現物保有高は17日に1,525.23トンとなり、前週末比3.34トン減少した。米国で1.52トン、英ETFSで1.32トン、英GBSで0.01トン、南アで0.49トン減少した。景気回復期待を背景としたポートフォリオの組み替えなどで売られた。年明け以降、ETFの現物保有高は減少傾向にあるが、2010年第4四半期末のSPDRゴールドの保有について、ソロス・ファンドが前期末比2万5,000株増の472万1,000株、債券運用大手PIMCOが同69万6,000株増の221万8,000株となったことがわかった。

干ばつに弱い豪州

豪ドル(オーストラリアドル)の変動には、時々豪州の干ばっが話題に上ることがある。特に2002年の干ばつは、100年来の規模のものであった。豪州統計局によると、2002年/2003年の干ばつにより農業部門GDPは27.5%減少し、全体的には豪州のGDPを1%程度押し下げたと推定される。 2003年/2004年は改善が見られたものの、2005年に入ると、再び2002年/2003年の干ばつの規模になるのではないかと危惧されている。ただ、西豪州では十分な降雨があり、最悪の事態は免れたとも推定される。

 

豪州は沿岸部を中心に発展した国であり、内陸部の開発が遅れているため、干ばつや森林火災が長く続きやすい。豪州の人口は2,000万人程度で、そのほとんどが沿岸部に居住し、内陸部への拡大は進んでいない。これは、逆に内陸部が干ばつや森林火災で住み難くなっていることを示している。

 

ある豪州の銀行の農業部門の担当者は、「毎年1,000人から2,000人の農家人口が減少し、離農が進んでいる」と言っている(2005年5月30日、FT紙)。 2005年5月7日/13日号のエコノミスト誌(The Economist)によると、そもそも豪州は過剰農家の状態にあるという。羊の放牧により草木が減少し、地面の保水能力が落ちていると指摘されいる。さらに、過剰に栽培される穀物(特に、綿や米)が水を多く吸収しているとされる。

 

現在、給水問題に悩むパースやアデライーデでは、海水の淡水化プロジェクトが進められており、また、降雨量の多い北部から南部への、給水パイプライン設置の動きもある。ただ、これらの計画には莫大なコストがかかり、短期的な解決策とはなっていない。豪州では農業部門の経済に占める重要度が大きく、干ばつで苦しむ農家に政府が補助金を出しており、またこれが政治的な問題となっている。

 

為替市場は干ばつに注意を払う。ただしその注目度は、RBAの金利政策や豪州の経常収支に対して小さい。しかし、干ばつの進行が豪州経済の成長を阻害することは事実であり、豪ドル売りの要因である。

 

金ETFを最も多く保有しているのはポールソン・ファンドで同変わらずの3,150万株(全体の7.5%)となっている。一方,米商品先物取引委員会(CFTC)建玉明細報告によると,2月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万7,093枚(前週15万1,194枚)に拡大した。インフレや中東情勢に対する懸念を背景にファンド筋の買い意欲が高まるようなら目先の支援要因になろう。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のゴールド・ディマンド・トレンズによると,2010年の世界の金需要は前年比9%増の3,812.2トンとなった。宝飾需要が同17%増の2,059.6トンとなった。国別ではインドが69%増の745.7トンが目立った。また公的部門が21年ぶりに買い越しに転じた。2011年の金需要はインドや中国の買い付け増加で拡大が見込まれている。財政問題やインフレ懸念で投資需要の行方が注目されるが,今後の下落場面では新興国の実需筋の買いがどの水準で入るかが焦点になりそうだ。